| NIYONIYO | ||
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「大丈夫」 |
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| 吉柴美奈子さん | 聞き手(佐藤きよみ 会田正宣・程彦平・豊田百合枝・中島園子・真鍋歓子) | |
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佐藤− 不登校の経験は辛かったり、触れたくなかったり、忘れたかったりする部分があると思うのに、吉柴さんは「親の会」で、自分の経験を語り、積極的に自分を出しています。 |
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| 【よしば・みなこさん】 栃木県出身。 東北福祉大学3年生、ゼミで「父性論」を学ぶ。 中学生の時不登校を経験し、現在は仙台市の「不登校を持つ親の会(フリースペース「つなぎっこ」)に参加。自分の体験を語り始めている。 |
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保健室の養護の先生、カウンセラーさん、浪人中の予備校の先生…。大学に絶対行きたくて、東京の女子高に面接に行ったとき、声をかけてくれた面接官のひと。人に受け入れられたい願望強いから、外の人に認められて、「そのままでいいよ」って受け入れてもらえたことが大きかった。 会田− 不登校のフリースペースで気になるのは、不登校の子どもだけが集まっていて、外との出会いがないとすればどうかということ。受容だけでもどうかと思ったりするんだけど。 「一人でも人間関係ができると、自然にスペースとか場を出ていくんですよね。人生の踊り場のようなもので、ちょっと休める場があるだけで違う。学校に行かない時間は、私にとって人生の踊り場でした。誰もいない放送室で過ごしていた時は、外で足音がするとあわててカギを閉めました。養護の先生がいる保健室のほうがずっとよかった。保健室は病気だから、教室に行かなくてもいいと正当化する理由にはちょうど良くて。教室でなくても学校に「いてもいい場所」があるのは大きかったです。 結局、卒業式には出なかったけど、卒業前に誰もいない教室に入って、黒板を掃除して帰ってきました。中学校の制服は嫌いなんだけど、いまだに捨てられない。学校に行けない人ほど、学校への執着があるんじゃないかなあ。みんな学校に行きたいと心では思っていると思うし、自分で外に出たくなる。周りが思うほど、子どもは弱くない。そういう力がある」 佐藤− 場面場面での出会いが大きかったんですね。親とはどうでした? 「母は幼稚園の先生で、地域では社会的地位もある、強い母。お母さんだけど、吉柴先生みたいな。その母が占いに行って「良い方角の水を飲むといい」と言われて、私にその水を勧めたんですよ。すごく怒って、ぶつかり合ったけど、それは私にとってお母さんになった瞬間でした。母がどれだけ悩んで、心配したのか。占いの水も一つの愛情表現だったんだなあって。親の会に行ってから、分かったことかな」 佐藤− 親の会などで、お父さんの姿が見えにくいなと思うことがあります。吉柴さんは今、大学で「父性」に関心を持って勉強していますが。 「父は大人しい性格で。あとで知りましたが、父は母に「一番苦しいのは美奈子なんだから、待ってよう」と言っていたそうです。父が母のワンクッションになっていたんですね。「あら、お父さん」とびっくり、見直した。一瞬だけですけど(笑)。 |
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佐藤− 自分の体験を示して行けるのも、父性だと思う。吉柴さんは自分の言葉で語っているから、本当に伝わる。でも、本当のコミュニケーションは傷つくこともある。 「きちんと言葉にしないと、黙っていても分からない。言葉になると、嫌な感情が生まれたりするけど、「言い方、感じ悪いね」って言われれば、「こういう言い方はダメなんだ」ってことは分かる。嘘は言いたくないし、私じゃすぐバレちゃう(笑)。自分が精一杯なのかも知れないけど、嘘をつかれるのは嫌だから。話しを聞くのもすごく好きです。本音で話してくれれば嬉しい。人の話しをちゃんと聞ける人間になりたいです。最後まで聞かないと分からないし。 |
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色々な人に支えられてきたから、今、生きていられる。自分が語るときは、自分だけでなく、出会った人々、バックの存在を示しているように思います。自分は一人じゃないし、一人じゃ生きていけない。周りは自分の生き方に誠実な人が多くて、人間関係が恵まれていました。自分の体験だけが正しいわけではないけど、自分の実感したこととしては話せる。自分ができる表現方法ですから。人と話すときも、一般論じゃなくて、「あなたはどう思うの?」、あなたの本音が聞きたい。本音を聞きたいから本音で話をすると言っても、社会に出たら「たてまえ」で生きていかなくちゃならないこともたくさんあると思う。それはそれで大変かなあと」 佐藤− 将来の夢は? 佐藤− 仕事にはしたくなかった? |
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吉柴さん(中央)を囲んで、佐藤、中島(奥)、真鍋(敬称略) |
佐藤− 私もカウンセラーなので、相手の問題に自分が入ってしまわないかどうか、非常に悩みます。今、不登校の子どもさんに何と言ってあげたいですか? |
| 「何かの形で話ができる時がきっと来るからって…。自分の気持ちを出すように、自分の言葉で表現してって…弱さを出してもそれでいいんだと…。「大丈夫」。大丈夫という言葉を返せれば。私、「大丈夫」という言葉がすごく好きです。どこかでつながっているように思えるから、「大丈夫」と言われると嬉しい。もちろん、無責任に言われるのは嫌ですよ。信頼関係があってこその「大丈夫」だから、すごく安心する。自分が言われて嬉しいので、人にも言いたい。 子どもはみんな力を持っている。大丈夫、きっと大丈夫になる。また歩いていく力がつくから大丈夫だ、とわたしも言うようにしています。周りが思うほど子どもは弱くない。だから「あなたも大丈夫だし、私も大丈夫」。大丈夫になるのは、明日かもしれないし、10年後かもしれない。でも、大丈夫。私自身、不登校から8年たって、やっとちゃんと自分のことが話せるようになったし。 そういう「大丈夫」が言えるように、相手に一歩入りたい。苦しいこと、つらいことがあっても、共有できれば。分かってやろうというのは、自分も「けっ」てなります。「分かってやろう」ではなくて、「一緒にいたい」という感じで相手に接したいです」 豊田− 「頑張れ」って言っちゃいけない言葉だったりする。「そんなに頑張れないよ」って。 |