![]() アマガエル |
田んぼの稲に穂がのびる頃、水面に深紅の夕焼けを見ながら、少し茂りすぎたあぜ道を歩いてみると、目の前をひょいと横切るカエルに出会うことがあります。
ところで、カエルといわれてすぐに思い出すのはどんな姿ですか。緑色の小さくて可愛いイメージか、茶色ののっそりと恐いイメージなのか。ただ、実物のカエルとゆっくり顔を合わせた経験は、意外に少ないのでは。夏の田の稲穂の陰に隠れる可愛い忍者を探してみましょう。
まずよく見かけるのは、小さくて丸っこいアマガエル。少し視線を低くして水辺の植物の上を探すと、可愛いその姿によく出会えます。田んぼの中をさっと横切るのは、名も知られたるトノサマガエル。東京などにはそっくりさんのダルマガエルが住んでいます。スマートな茶色のカエルは、アカガエル。何種類か仲間がいますが、いずれも春先の水たまりの中の卵が有名かもしれません。夜、ノソノソと歩いているのはヒキガエル。ガマの油で有名なヒョウキンものです。溜池に行けば、アメリカ渡来、でかい体にドでかい口のウシガエルも目立ちます。他にも、スマートなシュレーゲルアオガエル、背中一面デコボコのツチガエルなどにも会えるかもしれません。
![]() アズマヒキガエル |
しかし、カエルというと顔をしかめる人もいますよね。なんだか雰囲気が冷やっとしていたり、飛び跳ねるその姿、大きく開いた口やキョロキョロする目玉が嫌われるのでしょうか。でも、田んぼの水から顔だけ出した彼らのキョトンとした顔を見ると、そこがステキに思えてくるから、あら不思議。夏雨の憂うつな日、全身で喜びを表すように大声で鳴く彼らを見ていると、たとえようもなく軽やかな気分になりませんか?
そんな彼らに会いに行くと、いつでもいろんな生き物に出会います。田んぼの中にはドジョウや、場所によってはメダカもいます。稲穂をかすめてトンボが飛び、あぜ道を歩けば、足元から次々と飛び立つバッタに、雨が降っているような気持ちになることもあります。路傍に、小さくてもドキッとするぐらいに可憐な花がたくさん見つかるでしょう。
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| トウキョウダルマガエル |
そう、田んぼは実はすごく大きなウェットランド。あきれるほど多くの生命を包み込む、やさしい存在なのです。都会ではなかなか見かけられなくなりましたが、もしも身近にあるのなら、ふらっとのぞいてみてください。座り込んでじっくりと、生き物たちのゆるやかな時間に溶け込められれば、いくつものビックリが静かにあなたを訪れます。
その時、あなたはきっと、水面に浮かぶカエルのようにキョトンとした顔をしているに違いあり ません。
| トップに戻る | 【刈田悟史】 |
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大学在学中、「環境サークルなちゅれ」に在籍したことをきっかけに、自然を見つめる面白さに目覚め、定職にもつかず、生き物の世界をふらふらしている。公園の警備員をやっているほか、ことあるごとに鳥を見たり、魚をおっかけまわしたり年齢不詳の時間を楽しんでいる。 |