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〜蝶に目を向けよう〜

刈田悟史

コミスジの写真です

コミスジ

 うららかな春の日差しがいつの間にやら一変して、夏の色が濃くなってきました。晴れた日にちょっと見渡してみれば、ここかしこを嬉しそうに飛んでいる蝶の姿が目に付くでしょう。「嫌い」という人はあまりいないでしょうが、ゆっくり見たことのある人も意外に少ない。そんな蝶を少し眺めてみましょう。

 何も捕虫網を片手に山の中に入る必要はありません。町中の公園でも、畑のあぜ道でも、そしてあなたの家の庭にだって、多少、草木の残るところなら、何種類もの蝶が飛び交っているはずです。小さくひらひらと飛ぶ蝶は、思いがけず見過ごしがち。ずっとあなたのご近所さんだったのに、気付かないものでしょう? 

春先になると、冬の間物陰に隠れていたキタテハやベニシジミなどが飛び始めます。やがてモンシロチョウ、ナミアゲハなど、よく知られた連中を見かけるようになれば、春まっさかり。互いによく似たシジミチョウやセセリチョウもご登場です。

キマダラセセリの写真です

キマダラセセリ

 森に行くと、もっと仲間が増えます。春先だけ姿をあらわして、夏からずっと休眠しているヒオドシチョウのような怠け者もいれば、これからの季節にしばらくだけ、樹間を飛ぶミドリシジミやアカシジミといった可憐な仲間もいます。「国蝶」に指定されている、美しいオオムラサキとの出会いに恵まれるかも。いろいろな蝶が驚くくらい個性的に、それぞれの季節と空間を飛び回っているのです。

アカシジミの写真です

アカシジミ

 素早く飛び回る彼らをじっくり眺めたければ、朝早く出かけるのがお勧め。まだ湿気の残る空気が彼らの羽を重たくしてしまうのか、すぐに草や低い枝にとまり、日の強い日中のようなせわしない飛び方はできないようです。「神様が気まぐれに書き連ねた、その模様がどうしてできたのか」。そっと近づいて思いをめぐらせるうちに、時の経つのを忘れ、悠久の時間をさかのぼっているかも知れません。

  だれしも子供の頃に一度くらい、網を振り回して、虫を追いまわしたことがあるはず。なかなか捕まらない華麗に飛ぶ蝶は、あこがれの存在だったのでは? 子供の頃を思い出しながら、虫かごの代わりに、今度は胸の中に蝶をしまい込む。そんな「虫採り」も悪くない気がしませんか?


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 大学在学中、「環境サークルなちゅれ」に在籍したことをきっかけに、自然を見つめる面白さに目覚め、定職にもつかず、生き物の世界をふらふらしている。公園の警備員をやっているほか、ことあるごとに鳥を見たり、魚をおっかけまわしたり年齢不詳の時間を楽しんでいる。