NIYONIYO
ココニイルコト ノコト
(会田正宣)
  ビデオで借りて映画を見た。「ココニイルコト」。真中瞳が演じる広告会社ADの相場は、上司との不倫の恋に破れ、大阪に転勤する。子どものときの体験以来、信じることをあきらめることで、傷つくことから心をブロックしてきた相場。大阪のオフィスで回された営業職場に、堺正人が演じる前野がいた。「まあ、ええんとちゃいますか?」が、前野の口癖だ。前野のひょうひょうとした姿勢に、相場の心は徐々に開かれていく。さりげない心遣いが、ふんわりと軽く、心地よく伝わってくる。ささやかな幸せが芽生えるように感じる。
 人との距離って、難しい。関係が深くなればなるほど、その裏返しで傷つけてしまうこともある。家族や友達など、大切に思っている相手を傷つけてしまったり、傷つけられるのは、より苦しい。人間だから間違いは犯すが、最終的には、その時々に自分自身としてベストを尽くしたかどうか…を考えたいと思う。
彼岸花の写真です  ただ、正面から向き合おうとする視線は、強く、人をとらえる。強さゆえに、しばしば傷つけもする。僕はそうした傾向がある方で、よく人を傷つけてきた。
 わきからふっと見るような視線は、弱そうに見えて、柔らかくもある。何が強いことで何が弱いことなのか、どんな関わり方をすれば、本当の意味でベストを尽くしたことになるのか、見守るってどういうことなのか…。三十路に入って、「もう、そんなこと十分に経験して、大人になっていられれば」と思うのに、いたずらに年だけ経ってきた。
 映画のストーリーをこれ以上詳しく語るほど、野暮ではないつもりだが、最後の場面を紹介してしまうと…相場が「まあ、ええんとちゃいますか?」と口にする。ユーモアと淡い切なさに包まれた映画を思い出しながら、僕も少し、「まあ、ええんとちゃいますか?」と、人に言えるようになれたら良いなと思うこのごろだ。

トップに戻る 【会田正宣】 学生時代、環境問題を研究するサークル「なちゅれ」を主宰。楽器や空手など四方八方手を出すが、身につかないことばかり。気の多いB型。今は中国語に取り組む。アイルランドのロックグループ「U2」ファン。仙台在住の記者。横浜出身。
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