| NIYONIYO 疾走 〜娘の遺志を乗せて インタビューを終えて |
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| 長友さんには数年前、仙台市であった乗馬療法などに関するシンポジウムでお会いし、その後、秋田だったかでの移動乗馬教室で馬に乗せていただいた。宮城県内にもその後、船形コロニーにポニー牧場が設けられ、そこでごくたまに遊びに行って、馬に乗せてもらった。自分自身はほとんど乗馬できず、並足に毛が生えた程度だ。 船形コロニーの牧場に遊びに行ったとき、偶然、障害者グループが乗馬に来たことがあったが、わきで様子を見た時のことが忘れられない。車椅子に乗った、恐らく重度の障害児だったが、馬上に乗り、二周した。一周目を終えた後、僕の目からは背中を向けてコースを回り、二周目に再び顔を見せてゴールに戻ってきたときだ。彼は笑っていた。乗る前は、無表情だった彼が。劇的に変わった彼の表情に、言い知れない感動を覚えた。「人の表情って、こんなにも変わるものなのか」と。 長友さんにインタビューしていて、「障害者の親が子どもの可能性に気づく機会が少ないが、乗馬療法は可能性に気付くきっかけになる」との話しになった。話しを聞きながら、船形コロニーでの光景を思い出した。人は可能性を持っており、なんらかのときにパッと花開く可能性がある。花開いたときに初めて気付けるものだが、その可能性自体は常に、表面上見えなくても波打っており、花を開くことのできるつぼみなのではにか。それなら、見えないつぼみがあることを信じることが、可能性を信じることだろう。見えないつぼみに対して、花が開くように手伝うさまざまなツールの一つとして、乗馬はある。 乗馬を通して、今もたゆまず、どこかで障害児が可能性の花を咲かせ、親を喜ばせているかも知れない。長友さんはどこかの場所で、その現場に立会い、または様々な事務的なこと等を通して、そうした可能性の花が咲けるフィールドを耕していることだろう。亡くなられた娘さんが残して行ったものは、しっかりと根付いて、花を咲かせていると思う。 |
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| 【会田正宣】 学生時代、環境問題を研究するサークル「なちゅれ」を主宰。楽器や空手など四方八方手を出すが、身につかないことばかり。気の多いB型。今は中国語に取り組む。アイルランドのロックグループ「U2」ファン。記者。横浜出身。 |
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まず最初に、目の輝きに惹きつけられる。そして、ハスキーボイス。長友さんは、大きくてエキゾチックな目の奥に秘められた力強さが、なんとも魅力的な女性だ。案内された部屋の壁には、モンゴルの馬が淡い緑色の草原にたたずむ。やさしそうな馬と目が合い、自分もふっと穏やかな気持ちになる。 人が全人生を懸けてひとつの事をやり遂げようとする力は、いったいどこから来るのだろうか。日頃、さしたる意志も持たず、なんとなく目の前の事に右往左往している自分を振り返る度に、そう思う。 長友さんは、お嬢さんを亡くした後、何もやる気が起きずに、飲んだくれていたという。けれども、そこから立ち上がって、彼女の遺影を抱えてモンゴルに行く。かなわなかったお嬢さんの夢。モンゴルで馬に乗ること。お嬢さんの遺志を継ぐことで、長友さんは、乗馬療法という天職を得た。長谷川先生や、ボランティアの学生、モンゴルの人たち、ドイツの乗馬療法士…と、たくさんの出会いがあって、移動乗馬教室やイベントの企画など未知の世界に飛び込んでいくことで、現在のネットワークを築き上げてきた。 だからこそ、長友さんの「私が乗馬療法を続けることで、娘が私の中で生き続ける」「死と生は背中合わせで、その人の思いを生きている側から続けることが、その人が生き続けることだと思う」という言葉は、心にずっしりとくる。お嬢さんや長谷川先生の遺志を継ぐことで、お嬢さんや長谷川先生は長友さんの中で生き続けるし、同時に、長友さん自身が生きる原動力というか、生きていく上での居場所も得たのではないだろうか。 長友さんは、きっと強い人だ。その長友さんから「人間はそんなに強いものじゃないから。意地悪になる時だって、喧嘩する時だってあるでしょ。でも、そうじゃない時もある。やさしくなれるときに、やさしくしたらいい。体が不自由な人だって、自閉症の人だって、そういう意味ではみんな同じじゃないか」という趣旨の言葉をいただいた。 いまだに自分の天職が何なのか、あるのかないのかも分からないけれど、どのような佇まいで生きていくのか、人としての生き様のようなものを教えてもらったように思う。貴重な出会いを、ありがとうございました。 |
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【豊田百合枝】 バーボンと薩摩焼酎を愛する。ゴーヤのお浸しに泡盛も譲り難い。秋冬は欠かさず秩父宮ラグビー場に通い、ストレス発散。大学時代にロンドンで生活、IRAまたはIRAを装う爆破予告で、度々地下鉄の駅が閉鎖されるのを体験。その後、自分の通う大学近くでバスが爆破され、テロを初めて身近に感じる。東京都出身、記者。 |
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