| NIYONIYO 2003年秋号 | |||||||||
| じっと 待つ… | |||||||||
| 千田四鳳さん | (聞き手 会田正宣 川田まや) | ||||||||
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| 大正末期に、大河原町出身の尾形亀之助という詩人がいて、彼の人生を追いかけたりしていました。詩は小説よりも人そのものが出る。僕は詩そのものより、人に興味があったと思います。亀之助は一行詩や三行詩を書いていたのですが、行と行の間(ま)、言葉と言葉の間に広がる空間のイメージに惹かれました。書の形式の一つに、明治以降の文章を書く近代詩文書があって、最初のころは近代詩文書の部に作品を発表していました。ずっと、言葉、文字への意識があったと思います」 会田−千田さんの書は何度か拝見しましたが、迫力を感じます。哲学的な雰囲気もあって。何と書いてあるのか、よく意味は分からなくても、迫ってくるエネルギーを感じるんですね。 千田 「子どものころから、『今何をしたいのか』『どこまでやれるのか』を思いながら、自分で考えなければならなかったので、そのとき、そのときをぶつけていました。書も感じたことを昇華して、自分の言葉を書いています。25、6歳のころ、『さあ 見ろ これがおれだ 野仏だ』という詩を書きましたが、それが基本的な精神だと思います」 |
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| ★人とつながる意識 会田−千田さんは血友病友の会の活動のことも、いろいろな人に粘り強く伝えて、人とつながりながら、医療の改善などに辛抱強く当たってきましたよね。書でも、人とつながろうという思いが底流にあるように感じるんですね。 千田 「生まれたときから20歳ぐらいまで、外出ままならない生活を送っていたので、話し相手もいなかったですよね。最初から相手に分かってもらえるわけがないから、分かってもらおう、つながろうとする意識はとても強かったと思います。人が好き、人恋しいという思い…。人とはどこかつながれる所を探して、つながっていくようにしてきました。人との出会いをとても大切にしてきたつもりです。相手に何かを求めるのではなくて。生き方、考え方を押しつけるのではなく、多くの人と接することで、自分には知り得ない社会の中の色々な世界を知りたいと思っています。また一方で、自分のことも言うので、『千田さんの言葉は人の中に残る』と言われたりしますが。 |
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| 会田−子どもに習字を教えていますけど、どんな教え方をしているのか興味あります(笑)。 千田 「抽象書を教えているわけではないですが、あえて書の基本と言えば…永字八法と言って、永の字の中に、はね、かど、はらいなど八種の書き方のすべてがあります。だから、それさえ学んでしまえば、後は教えることなんて本当はないのですが(笑)。 僕は教えるという感じはあまりないんですね。人が変わって行くのを見ているという感じ。見ながら、なるべく、その時々に気付いたことを伝えていくようにしています。子どもたちの書を見ながら、『あれ、今日は字が小さいね』などと、素直な気持ちで子どもと話し始めます。すると、今日あった出来事や悩み事、『こんなことがあったんだ』とか、話が出てくる。そんな会話をするうちに、私が今考えていたことなどが伝わりやすくなったりします。何か決まったことを教えて、『こんなこと習った』というのは小さい事のような気がします。時間をかけているうちに、人の中で、その子の中でどんどん育って行くのが感じられるのは、嬉しいものです。 とりあえず、書を好きになってもらえれば良い。『私は字が下手だから』といった気持ちを取り除いて、書道の楽しさに触れてもらうこと。そして、人間性を引き出すことだと思います」 |
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| 千田 「書をやっていたことで、自分の世界が広がりました。血友病の活動でも、書の仲間がよく助けてくれました。ある看護婦さんと話していた時、『病気以外に何か別の、共有できる世界があると、その人そのものを応援できる』と言ってくれました。それはその通りで、僕にとって、書は人とつながる大きな入口です。あとどのくらい生きられるか…分かりませんが、創れるものを創れれば良い。自分の中にあるものを出して書ければ良いと思っています。その創り出されたものが、多くの人々の心の中に存在する普遍的で、より本質的なものであれば、なお良いと思っています。私自身でさえ、次の一筆がどんな線になり、余白をつくり、作品となって生まれ出るのか全く分からないのだから、楽しみです」 | |||||||||
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