| NIYONIYO 寄り添う眼差し 映画上映会、インタビューを終えて |
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伊勢監督の第一印象は身体が大きくて、ちょっととっつきにくいかな?というもの。でも実際話してみると、とても気さくでやさしく、人の話も熱心に聴いてくれる。とてもすてきな方でした。伊勢監督ありがとう! 「ただ撮りたいと思った」という伊勢監督の言葉が印象的でした。 あの映画の中の「奈緒ちゃん」はどのシーンも生き生きしていて、とても可愛いんです。対象の「奈緒さん」がすてきな方なのは言うまでもありませんが、たぶんそれだけでなく、奈緒さんのご両親をはじめ、伊勢監督、現場のスタッフ、そして奈緒さんの成長を見守っている多くの人の眼差しをそこに感じるから、そうなのかも知れないと思うのです。 人は自分と関わってくれる多くの人の眼差しや思いの中で生かされているのだと思います。平凡で没個性的な人間なんて、どこにもいない。 監督は以前に「全く車を売ったことのないセールスマン」に密着した映像を撮ったことがあると言っていました。営業促進のための映画なのに、そんなものとってどうする!という話もあったらしいけど、でも映像という面に関しては、すごく受けたとか!分かる気がする。関心を持って、また愛を感じながら対象に迫っていったら、そういう映像が撮れてしまうだろうなあって(笑)・・・ 「撮りたいものを撮る」「撮りたいから撮る」って、ものすごい宝物を持っているのに等しいと思います。監督、これからも我が道を突き進んで、不思議な映画を撮ってください。またお会いしましょう! |
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| 虹色の神話をあげる眼差しを抱いてお休み愛しききみは | |
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【佐藤きよみ】 仙台市出身で獅子座のA型。平成2年から短歌を始めて、馬場あき子主催の「かりんの会」に所属。4年、「カウンセリング室」で、第35回短歌研究社新人賞受賞。7年に第一歌集『パウル・クレーの憂鬱』を上梓。現在は児童相談所に勤務。趣味は中国文化に触れること、アジア映画をみること。レスリーチャン、金城武のファン。 |
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日常…日々続く生活の中で、泣いたり、笑ったり。たまにハプニングがあったり。その中で、いろいろな人と出会って、人は生きて行く。 映画「奈緒ちゃん」に引き続き、「ぴぐれっと」を観た。決してドラマティックなシーンがあるわけではないけれど、見終わった後に、何とも言えぬ心地良さが、やんわり、じんわりと残る。陽だまりのような温かい心地がした。そこには、奈緒ちゃんを取り巻く日常があり、観る私達も、奈緒ちゃんの知人のような錯覚を起こす。 伊勢監督はインタビューで、「映画は作り手と観る人がいて、初めて成立する」と話していた。また、「多くの人と出会い、友人が増え、『あの人はどうしているだろう?』と思ったり、相手の顔が見えてくるようになった」と言い、映画づくりは「ラブレターを書く作業に似ているかもしれない」と話してくれた。その送り先は一人で はなく、多くの人へ…と。 人に煩わされたり、でも人に助けられたり。人は一人では生きて行けない。人によって生かされ、私もまた誰かを生かしているのかもしれない。 映画の中で、奈緒ちゃんのお父さんが「奈緒がいなければ、今いる周りの人との出会いがなかった」と話していた。お母さんはエンディングで、「奈緒ちゃん、ありがとう」と言っていた。 私はまだ、子供を持っていない。いつか我が子という新しい人格に出会い、それによって、世界や人とのつながりがまた広がって行くのかもしれない。 大変なことがあって、悩んだり、考えたり。皆で楽しく笑ったり。親が子を想い、家族が家族を想い、仲間がお互いを想い合う。周りの人が強く結びついた、人と人とのつながりが、とても素敵な映画だった。 |
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| 【高橋理麻】 ピアノ、声楽などに親しみ、大学では音楽文化学を専攻。人との出会いが楽しみ。ネパールの旅行が楽しかった。秋田県由利郡出身。 |
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「奈緒ちゃん」を初めて観て以来、奈緒ちゃんが学校に行くときに横断歩道を危なげに横切るシーンが心の中に残りました。奈緒ちゃんの笑顔はかわいいけど、その行動は怖くて目を伏せたいと。切ないような、ハラハラするような気持ちを伴って、そのシーンを時々思い出していました。 今回の「ぴぐれっと」で、期せずして、頭から消えないそのシーンを目にしたとき、自分の感情の動きが違うことに気付きました。 たくさんの人を大切にしてきた、奈緒ちゃんのお母さんの生き方は素敵ですね。家族の間で、映画では見えない色々な問題もあったことと思いますが、その生き方をさせてくれた旦那さんも、また素敵だと思います。 インタビューで、監督のお話を聞くチャンスに恵まれましたが、あれこれ予想していた、どの像とも違う「映画監督」でした。修飾されない人柄とでも言うのでしょうか。いつの間にか、初めて会ったとは思えないほど、リラックスして話を聞いていました。人を、自然にくつろがせる力があるのでしょう。「観客の感想を聞くことが次の作品をつくる原動力」とおっしゃっていましたが、お人柄と溶け合って印象に残りました。相手に誤解なく、言葉を伝えるプロフェッショナルであるようにも感じました。実際にたくさんの人と、丁寧に会話して来られたからこそ、なのだろうと思います。 |
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【you-ko】 1973年、茨城県生まれ→仙台市在住。社会人5年目。好きなことは「おえかき」をすること。SNOWBOARDは7年め。アジアンな格好もだいすき。将来、Indonesiaで暮らせるといい(でも雪山がないな)。 |
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そこにある幸せ 少し前、映画を見るときに、問題意識を持って、見る映画が何を訴えんとしているのかを深く考えながら見る癖が付いていました。それ自体は別に悪いことではないと思うし、場合によっては必要なこともあります。だけど私は、それに固執するあまり、作品を純粋に楽しむことを忘れてしまった気がしてなりませんでした。考えてみればおかしなことですよね。構えすぎて、作品を素直に感じることを忘れていたのですから。構えることなく、ただその映画と自然体で向かい合う。そして、自分の中に生まれた感情の中にこそ、その映画の言わんとしていることが生まれるのかもしれない…。そんな事を考えている矢先に、伊勢監督の『ぴぐれっと』に出会ったのです。 『ぴぐれっと』には、何も考えずに向かいました。授業でもない、義務でもない。ただ見てみたいという気持ちを大切にしつつ。『ぴぐれっと』には、個性豊かな仲間たちがたくさん登場します。それぞれに障害を持っているけれど、全然暗くなんかない。みんなとびっきりの笑顔で笑っているんです。知らず知らずのうちに、自分もその中にいて、一緒に歌ったり、踊ったりしているような不思議な感覚になっていました。画面を見ながら、笑っている自分に気づく瞬間が何度もありました。うれしいとか楽しいとか、素直にストレートに伝わってくる。それが本当に心地よく感じられました。映画を見終わった後、私の心の中に残ったのは、ほわほわと暖かい、幸せな感覚。思わず唇の端がほころんでしまいそうな気持ちです。フィルムには、意図して描こう、映そうとしても表現できないような、日常生活の中にある小さな幸せがたくさん詰まっていました。それは、みんながあるがままの姿でカメラの前にいるからこそ、映すことができたのでしょう。 『ぴぐれっと』を観て、ある事を表現しようとした時に、必ずしも非日常を扱う必要は無いのかもしれないな、と思いました。もっと言ってしまうと、わざわざ何かを表現しようとしなくても、新しい発見とか新鮮な感覚とかは、すぐ隣にあるものなんじゃないかな、とも思いました。それらは、日常生活に溶け込んだ一番自然なあり方で、そこにある。ただ、それがあまりにも日常的だから気づきにくくなっている。どこか別の場所に行くとか、特別なことなんかしなくても、もっと自然体で、素直に自分の身の回りを見渡せるようになったら、きらきら光る小さな幸せのかけらに気づくことができるかも知れません。そうしたら、今の何倍も幸せになれるかも知れない…。そんな風に、つくづく思いました。それが、私が『ぴぐれっと』からもらった最高のプレゼントかも知れませんね。 |
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| 【日高和帆】 地球の環境保全に興味を持ち、使命に燃えながら大学で地球科学を専攻。好きなものはラーメン、コーヒー、こたつ、鉱物、海、宇宙、ゲーム、音楽などなど。何にでも興味を示す猪突猛進型人間!? |
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『ぴぐれっと』を観てから、ずっと、何かぴたっと合った言葉で感想を表せられないものかと考えていましたが、なかなか見つかりません。ただ、一番感じたのは、監督は奈緒ちゃんが大好きなんだろうな、ということでした。映画はファインダー越しというより、監督自身の目を通したものだったと思います。だからこそ伝わってくるものが鮮烈でもあり、温かくもあったと感じました。映像を通して、監督の眼差し越しに語りかけてくる『何か』は、言葉よりもずっと真直ぐに、観た者の心に伝わるものがあったと思います。 困っていれば助けたいと思うし、もっといい方向へ導いてやれるものなら導いてやりたいと思うのが人間だと思います。でも、あまりにも思い過ぎて、ただいる、ただ在る、そこにいるということを難しくしてしまっているような気もします。とても簡単なことなのに。じゃあ、私自身は一体何ができるのかと、結局、すべては自分の問題として考えていくことから始めていくことが一番いいのかな、と思います。私ができることから少しずつ始めて、進みながらじっくり考えつつ行動していこうかなあと、ぼんやり考えました。 |
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【吉柴美奈子】 |
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昨年2月、妻の父が病気で亡くなった。71歳だった。義父は波乱万丈な人生を送った人で、魅力的な人だった。妻は義父の病気が分かってから、半年近く、義父のいる福島と、宮城を行ったり来たりし、後半は付き添いで病院に連日泊まり込んで介護したりしながら、義父を看取った。 義父の死から3ヶ月後ぐらいだったか、妻が伊勢真一監督の新作映画「ぴぐれっと」の試写会に参加し、ぴぐれっとを仙台で上映することを決めてきた。何か後ろ盾があるわけでもなく、小市民の自分には(苦笑)、採算など心配はあったが、「良いんじゃないか」と思った。「父親が亡くなって、心の傷がすぐに癒されるわけではないにせよ、何かやりたいことができて、ちょっとした希望、喜びでも見出せるのであれば、それで十分じゃないか」といった気持ちだった。義父の「弔い合戦」のような感じで、とらえてもいた。 妻の思いは、もっと深かったように思う。上映会に向けて「奈緒ちゃん」のビデオを何度か観て、また当日、僕自身が初めて「ぴぐれっと」を観て、ようやく、何となく、妻の思いは「こんなことだったのかなあ」と、自分なりに理解?してきたような気がする。答えは、映画の中にあった。 「奈緒ちゃん」は以前にも一度、ビデオで観たことがある。その時は、ほんわりした雰囲気で、家族のささやかな幸せを映した、温かいホームドラマのような映画という感想だった。今回、「奈緒ちゃん」「ぴぐれっと」を観て、基本的な印象は変わっていないが、静かに、でも、じわじわと自分に迫ってきたのが、映画の中にある、時間を丁寧にかけながら、寄り添い、見守るという視線だった。 「奈緒ちゃん」自体が12年間の記録であり、撮影に大変な時間をかけている。その延長線で「ぴぐれっと」の撮影は都合20年に達するが、「奈緒ちゃん」「ぴぐれっと」を続けて観ると、作品の間に流れた時間を意識すると同時に、あらためて撮影開始以来の時間が浮き彫りになってくる。 奈緒ちゃんのお母さんが、人とのつながりを大切にし、仲間づくりから始めて、五里霧中で小さな作業所を立ち上げ、作業所が成長して今に至っていること。それは単に時間が過ぎたのではなく、一歩一歩積み重ねて、丁寧に時間を過ごしてきた結晶だと思う。 その時間の過程に、伊勢監督やスタッフのみなさんが立会い、カメラという媒介を通して、当事者とは違うアングルで、やはり丁寧に時間を過ごしてきた。「ぴぐれっと」という作業所と映画は、双子の兄弟のようだ。奈緒ちゃんのお母さんは伊勢監督の姉だが、やっぱり姉弟で似ているなあと思った(笑)。時間のかけ方、人とのつながり方といった姿勢が似ているなあと。 時間を丁寧にかける、そばで見守っているということは、とてもシンプルで、大切で、大変なことだと思う。一見静かに見えるかも知れないが、とても積極的なことだと思う。人は人に「良かれ」と思って、誠実にいろいろと行動するだろうし、それ自体は悪いことじゃないと思うが、善意や価値観を押し付けてしまうことになったりもする。「こうした方が良い」とアドバイスしたつもりが、相手の生き方を変えようとする働きになったりもする。その前に、まずは見守り、黙って聞いていたりする方が、人にとって救いになる時もある。それで、相手のいろいろな背景が徐々に見えて来て、もう少し深く理解できるようになったり、相手もちょっと違う自分を発見したりすることになるかも知れない。見守るということは、そんな過程を生み出す時間のことなのかも知れない。 家庭のように身近な当事者同士では、愛憎も激しく、互いに傷つけ合ったりもする。相手を理解したい、受け入れたい気持ちは強く、その分、できなかった時に絶望感が生まれたりすることもある。そんな葛藤も経ながら、信頼をつくっていくこともある。それが、愛するということ、育ち合いかとも思う。伊勢監督はインタビューで、「ちょっと脇から見てみると、案外捨てたものではないと、見えることもあると思う」と話していた。 妻は父の看病で肉体的、精神的に苦労もした。病床の父親に「ちゃんと寄り添えたか」と悩んでもいた。そんな妻に、僕自身がちゃんと寄り添えていたのか…とも思う。 伊勢監督の映画には、寄り添う眼差しがあった。というより、個人的な感想で言えば、寄り添う眼差しだけがあった。ドキュメンタリー映画も監督の目で編集される作品だから、ぴぐれっとで生活するみなさんの温かい「現実」を、寄り添う眼差しがそのままに映した「現実」のドキュメンタリーだと思った。 だから、妻は「ぴぐれっと」の上映会をしようと思ったのではなかったのか? 僕は最初、「弔い合戦」と言ったが、今は、違う言葉の方が的確だと思う。義父のお墓参りに行き、花を供えたような感じ…とでもいうのか。「ぴぐれっと」は、とても素敵な花だった。 |
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| 【会田正宣】 学生時代、環境問題を研究するサークル「なちゅれ」を主宰。楽器や空手など四方八方手を出すが、身につかないことばかり。気の多いB型。今は中国語に取り組む。アイルランドのロックグループ「U2」ファン。記者。横浜出身。 |
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